桜坂
2018/11/21
そんな綺麗な話じゃないよ。
下るも登るも心臓破り。
夕日が目を焼くから
車輪の音だけ頼りに走る。
わたしはこんなに寒いのに。
今年は温かいんだってさ。
革手袋をはめたらば
ざらり 首を撫でてみた。
こうするしか
ないと思ってたんだ。
ふと目を留めて
そして嗤って。
一秒先には忘れていいから。
狂い咲いたら
ひとり散るだけ。
そんな眼差しでも
震えるほど
あなたが欲しくて。
悲しいことがあったらば
走れば忘れられるってさ。
道化は嘘つきの歌にのって踊る。
知らない家の屋根をたどって
枯れ枝に褪せた桜紅葉。
どんなに息が切れたって
一秒先には白昼夢。
そんな眼差しでも
震えるほど
あなたが欲しくて。
狂い咲いたら
ひとり散るから。
一秒先には忘れていいから。
ふと目を留めて
そして嗤って。
わたしを見て。
わたしを見て。
芽吹いてから
気づいても
遅かったんだね。
狂い咲いたら、
ひとりで散るから。
