蹴り飛ばした小石は
色褪せたギター教室の看板にぶつかった
ふと見上げた空には
分厚い雲がなんて速く流れていく
それでも光は射さないのね
頭はからっぽ?
いいえ もやもやで
枝にしがみつく椿の花首
忘れてしまったはずの
だれかを
子どもの笑う声は
ごうごう吠える風のなか聞こえている
ふと気づいたときには
くちびるだけでささやいていた
頭はふわふわ?
いいえ もやもやで
踏みださなきゃ帰れもしない
なのに帰りつくはずの
どこかは
忘れてしまったはずの
だれかへ
ごうごう
風はうなって
こんな声なら消してくれる?