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Pokémon GOのAR写真とか。アニメの感想とか。たまに難しいことも。不思議ちゃんの新婚生活13年目@東京をまったり記録。

ネットワーク分析について本も読んでみた。

久しぶりに、読んだ本についてメモ書きです。

ネットワーク分析—何が行為を決定するか 著:安田 雪 出版社: 新曜社 (1997/02)

2つ前の記事で書いてるんですが、昨年末に安田さんに取材に伺っているんですね。そのときから、ネットワーク分析のキラキラした将来性は印象に残っていたのです。

1997年に書かれたこの本では、どちらかといえばパーソナル・ネットワークよりも企業・産業間関係に力点を置かれて書かれています。しかし現在は更に、これまで見えなかったパーソナル・ネットワークをアンケートや観察とは違う方法で広範に扱えるのではないかという夢があるようなのです。取材のときの感想にも書きましたが、将来性・応用度の高い研究なのだと思います。

しかも、ネットワーク分析による知見には、将来個人的にも使えそうな知識が多いのです。たとえば、効率的な情報収集の方法や、夫婦間のコミュニケーション(さすがに遠い将来だなあ笑)についてなどなど。

法学部生としては、社会学の分析の手法を丁寧に追えたのが貴重な経験だったと思います。うっかりすると縁がないまま終わりそうですが(^-^;

印象に残ったのは、概念に測定可能な「作業定義」を与えることの難しさです。

この本で出ていたのは紐帯の強さ、すなわちネットワークにおける行為者間の関係の強さにはどんな指標を与えればいいかについての話でした。

たとえば、企業集団における企業間関係の強さを測ろうとするとき、その作業定義として「企業間の取引額」「役員派遣数」「相互の株式保有額」などを与えることが可能です。でも、どの方法をとるのかによってそこに現れてくる紐帯の力はまるっきり違うのだ・・・ということです。

もっと卑近な例で言えば、個人間のネットワークの強さを考えるとき、作業定義として「お金を貸してくれた回数」(!)を使うか「相談に乗ってもらった回数」を使うかでは全然違う結果が出てくる、というのも載っていました。

また、ネットワーク構造の比較の前には、その構造が安定しているかを調べることが必要だということも覚えておいたほうがよさそうです。比較ってよくやる手法ですものね。

そして、ある研究の考察が別の研究で補強されたり反駁されたりするのを色々と見られたのが面白かった! この意味で、「Ⅲネットワーク分析の応用研究」の章はダイナミックなのです。ある理論に反駁するために、その理論の根拠となっているデータの数字を丹念に追って、何が見落とされているか調べたりとかね。ずいぶん骨が折れそうですが・・・。