yuletide@blog

Pokémon GOのAR写真とか。アニメの感想とか。たまに難しいことも。不思議ちゃんの新婚生活8年目@東京をまったり記録。

リツイートしただけでも名誉毀損で訴えられることがあるのか――イギリスの事件より

こんにちは、ゆーりんです。

たまには元法学部生らしく(`・ω・´)キリッ

法律問題について考えるブログを書いてみます。

とか言っておいて、最初に謝罪しておきますが、考えるだけ考えてドツボにはまって結論出ませんでしたwww

法学部を卒業しただけのゆーりんには無理ですwww

 

 * * *

 

きっかけは、たまたま発見したこの記事。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34246

誹謗ツィート、リツィートで告訴される可能性も---英国の誤報事件が思わぬ展開に

(現代ビジネス,2012年12月06日,小林 雅一)

 

 

Twitterでは約40人しかフォロワーがおらず、約400ツイートしかしていませんが、ゆーりんだって立派なツイッター利用者です。

リツイートで告訴される可能性って何!?って、気になってしまったのです。

 

 

【今回起こったイギリスの名誉毀損事件って?】

 

上で紹介したネットニュースによると、イギリスでこんな事件があったそうです。

 

・11月初め、イギリスの2つのテレビ番組が「保守党の大物政治家が、かつて幼児虐待に関与した」と報道。

 

・匿名報道だったが、容疑者がAlistair McAlpine氏と言う人物であることが視聴者には容易にわかるようになっていた。

 

ツイッター上では、「McAlpine氏が幼児への性的虐待の犯人である」という認識が確定していまい、同氏を非難、誹謗するツィートの嵐が吹き荒れた。

 

・ところが11月中旬、番組は誤報であり、McAlpine氏が児童虐待に関与した事実はないということが明らかになった。

 

・McAlpine氏はまず2つのテレビ局を名誉毀損で訴える手続きに入ったが、裁判になれば全く勝ち目がないことを理解していた両局は早々と和解を申し出、それぞれ約2000万円の慰謝料を払い、誤報を公式に認めてMcAlpine氏に謝罪することで和解が成立した。

 

ここまでだったら今までにもある「報道による名誉毀損」の事例かもしれません。

ですが、ここから現代的なお話になってきます。

 

・McAlpine氏は弁護士事務所に依頼し、BBCITV誤報を受けて同氏を犯人呼ばわりした、多数のツィッター・ユーザーを特定した。そして、そのうち「英国下院議長の妻」や「著名コメディアン」など、多数のフォロワーを持っている有力ツィッター・ユーザー20名を名誉毀損で訴えることを検討しているという。

 

・McAlpine氏の弁護士事務所は、(上記20名も含め)同氏を犯人呼ばわりするツィートを発したユーザー約1000名、そしてこれらをリツィートしたユーザー約9000名に対しても法的措置を講じる可能性をちらつかせている。

 

そのほか、詳しくは現代ビジネスの記事をご覧くださいませ。

 

 

【これが日本だったら? 政治家じゃなかったら?】

 

つまり、誤報にもとづいてなされたインターネット上の誹謗中傷発言が訴えられるとしたらどうなるか、っていうのが気になるポイントです。

もしこれと似たような事件が日本で起こったら、どんなことが法的に論点になるかなーと考えました。

 

最初に、そして、日本法について検討するに当たって、「名誉毀損が成立しない場合」について教科書の説明を引用しておきますね。

 

内田貴著「民法II 債権各論[第2版]」(東京大学出版会)のp.349によると、

事実の摘示による名誉毀損は、次の事由が存在する場合には不法行為にならない(最判昭和41年6月23日民集20:5:1118)。

1)その行為が公共の利害に関する事実に係り

2)もっぱら公益を図る目的に出たこと

3)摘示された事実が真実であることが証明されたこと

(中略)

 さらに、3)が充たされなくても、「3)´真実と信ずるについての相当の理由があるとき」には、故意・過失の要件が欠けるとされる。

 そして、「報道の自由」にかかわる新聞等のマスメディアによる報道の場合、1)2)の要件が充たされていると見られやすい

 

さて、まず、Twitterだけでなく、mixifacebookなどのSNSや2ちゃんねるなどの掲示板での書き込みの場合にどうなるかって、気になりませんか?

さかのぼれば、「プロバイダ責任制限法」が制定された2001年には既に、インターネットのサイト・掲示板での名誉毀損やプライバシー侵害が問題になっていたはずですから。

 

もうひとつ、名誉毀損の対象が、McAlpine氏のような政治家(公人)ではなく、一般市民(私人)だった場合にどうなるかも気になります。

 

ひとつ考えられるのは、政治家くらいの権力がないと、自分を犯人呼ばわりした約1万名ものツイッターユーザーを特定して訴えるという荒業はできないんじゃないかという身も蓋もない推測ですw

(なお、McAlpine氏にも特定は困難ではないか、と指摘している記事を見かけました。http://www.smh.com.au/technology/technology-news/mcalpine-paedophilia-tweet-cases-may-expand-uk-libel-law-20121123-29xet.html

 

 

【まとめ:ネット上の書き込みで訴えられるか、気になる論点】

 

「たったこれだけでまとめなの!?」と思われる方は多いかと思いますが、まとめます。

というのも、ゆーりんが考えていても結論がわからなかったので(笑)

論点整理をするだけに留めさせていただきますm(_ _)m

(そして、この論点整理すら妥当なものかは保証できかねますorz)

 

●マスメディアによるMcAlpine氏のような誤報事件が日本で起こっていた場合、以下の(a)~(d)の行為をしたら、名誉毀損で訴えられるか。

(a)「McAlpine氏はひどい政治家だ」とTwitterでツイートした

(b)「McAlpine氏はひどい政治家だ」というツイートをリツイートした

(c)マスメディアのアカウントによるツイート「McAlpine氏に幼児虐待の疑い」をリツイートした

(d)「McAlpine氏に幼児虐待の疑い」というニュースについてのページ(2ちゃんねるのスレ、ニュースサイトのコメント欄など)で「McAlpine氏はひどい政治家だ」という書き込みをした

 

ひとつ問われるのは、先に挙げた名誉毀損不法行為にならない3条件のうち

「3)´真実と信ずるについての相当の理由があるとき」

かな、と思います。

 

内田先生の教科書によると、

報道の自由」にかかわる新聞等のマスメディアによる報道の場合、1)2)の要件が充たされていると見られやすいが、3)および3)´の認定は厳格である。たとえば、共同通信社のような定評のある通信社からの配信記事をそのまま掲載したというだけでは、真実性について相当の理由があったと言えないとされた(最判平成14年1月29日判時1778-56、最判平14年3月8日判時1785-38(いずれもロス疑惑事件))。配信サービスの抗弁と呼ばれる法理を否定したもので、報道機関は常に裏付け取材が求められる。

とのことです。

では、報道機関ではなく、ふつうの人たちがニュースについてインターネット上で感想を述べたりリツイートしたりするにあたって、「裏付け取材」はどこまで求められるのでしょうか。

 

また、Twitter上のツイート・リツイートと、掲示板への書き込みとで、判断は変わってくるでしょうか。

いくつかMcAlpine氏の事件に関する記事を探したんですが、氏がtwitter以外のインターネット上の掲示板などで書き込みをした人に対して法的措置を検討しているという記事は見つけられなかったんです。

イギリスでは2ちゃんねるみたいな掲示板ってあんまり流行ってないんですかね?

それとも、McAlpine氏は掲示板の書き込みとTwitter上のツイートとでは「影響力が違う」と考えたから、Twitterしか標的にしなかったのでしょうか? 気になります。

 

 

【余談その1:リツイートってどこか今までの機能と違うかも…】

 

ここからは余談です。

 

「インターネット上の書き込みでも名誉毀損で訴えられる可能性がある」ということは、もうすでに多くの人に知られているんじゃないかと思います。

2010年に最高裁判例も出て話題になりましたしね。これは、レストランの口コミサイトの事例のようです。

 

参照:ネットの中傷行為に警鐘 最高裁名誉毀損に媒体の区別ない」会社員の有罪確定へ(日本経済新聞 2010/3/16 22:53)http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG16050_W0A310C1CR8000/

 

ですが、自分が情報を発信するのではなく、他の人が発信した情報について感想を書き込んだだけでも名誉毀損で訴えられるかもしれない――ということは、考えた人はあまりいないんじゃないかと思います。

 

そして、イギリスの事件では、自分は全く意見を述べておらず、リツイートしただけ(つまり、情報を共有しただけ)でも、訴えられる可能性が示されているのです。

 

リツイートであっても立派な「情報発信」であり、それ相応の責任を持つべきではないか、とイギリスでは議論されているということですよね。

 

で、このリツイートなんですけど、SNSの日記機能などと比べると、めちゃめちゃお手軽ですよね。

 

何より画期的だと思ったのは、引用のマナーやルールを意識しなくてOKだということ!

ブログでもSNSでも、何かの記事や誰かの発言を引用するには、引用のルールを気にしないといけません。

どこが引用でどこが自分の発言かわかるように……

出典のURLを貼り付けて……

出典の筆者の名前や書かれた日を明記して……

等々。

でも、リツイートならボタンひとつで引用ができるんです!

どこが引用か、引用元はどんな発言だったのか、リツイートという機能を使ったら誰でもすぐにわかるようになります!

 

それに、ツイッターって、140文字の文字制限がありますよね。

非公式リツイートにより自分の意見を加えるとしても、引用元のツイートで半分以上埋まるでしょうから、「政治家ってやっぱり糞だな」などの一言を加えるだけで立派にツイートが成立するんです。

 

この「お手軽さ」という特徴により、リツイート機能は「自分の見解を表明する」というよりは、facebookのイイネ!的な使われ方をしているように思います。

日常会話での「うなずき」のようなもの、というか。

 

ブログの記事を書いたり、たとえ140文字でもツイートを書き込むのであれば、

「自分の意見を表明しているよ!」

という意識が自然と持てるかもしれません。

これに対して、ボタン一つで済むリツイート機能のほうでは、そこまでの意識が持てるかどうか。

 

それでも、リツイートはネットを介さずに会話しているのとは違います。

たとえフォロワーが40人しかいなかったとしても、

その40人に対して彼らの知らなかった新しい情報を提供することになる可能性があるんです。

 

今回のイギリスの事件は今のところ日本ではほとんど報道されていないかと思いますが、

いずれ日本でも、何かの事件をきっかけに、

「たとえリツイートするだけでも情報発信の責任を負うことになるんだよ!」

という注意喚起が広まってくるかもしれませんね。

 

 

【余談その2:ツイッターで犯罪告白した人を叩いてるのってどうなるんだろう?】

 

あと、これはただの連想ですが……

 

昨年あたりから、

ツイッターで犯罪告白(たとえば「飲酒運転なう」というツイート)した人を発掘→

mixiやブログなどから本名・顔写真・住所・勤務先/通っている大学名などを特定→

2ちゃんねるなどの掲示板上で犯罪告白した人に対して中傷的な書き込みをしたり、通っている大学に通報したりする

というケースを見たことがありませんか?

「バカッター」で検索するといくつか出てくるかと思います。

 

(飲酒運転で逮捕されたというニュースを見て「犯人バカじゃないの」という書き込みをネット上にする、っていうだけなら、日常的なものだと思うんですけどね。冤罪の可能性はありますが。)

 

で、

犯罪告白ツイートを吊し上げて盛り上がっている人たちって、

「俺たちが正義だ」

って言っていることが多いんですよね。

飲酒運転をするような奴が社会に野放しになっていては良くない、社会的に抹殺されるべきだ、というのが彼らの正義感なんだと思われます。

 

でも、これって本当に正義なのでしょうか……っていうと抽象的な問いになっちゃうので、これって「公益を図る目的に出たこと」(先に挙げた名誉毀損不法行為にならない3条件のうち2))なのでしょうか。

 

もしその犯罪告白ツイートがただの冗談だった(真実でなかった)場合、

叩いた人たちを名誉毀損で訴えたらどうなるんでしょうね。

あと、勤務先などを書き込むのも、プライバシー侵害で訴えられたりしないんですかね。もともとが本人がネットのどこかに流していた情報だったら、難しいんでしょうか。

 

 

……と、いろいろ考えるものの、仮に名誉毀損・プライバシー侵害が成立するとしても実際に訴えるのは難しいでしょう。訴えても、一度ネットで吊し上げられたら、そのダメージは回復不能です。

法に触れるようなことをしてはいけないのはもちろんとして、

・インターネット上には違法行為を匂わせるような書き込みはしない

・住所などの個人情報が特定できるような書き込みはしない

という自衛をするしかないんですかね。。。

何かの拍子に吊し上げられてしまったら、過去のブログ・SNS・ツイッターの書き込みを全部だれかに洗われて、住んでいる場所やら勤務先やら特定されてしまうでしょうから。