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Pokémon GOのAR写真とか。アニメの感想とか。たまに難しいことも。不思議ちゃんの新婚生活13年目@東京をまったり記録。

『リトルバーズ』観ました&読みました

イラク戦争中のバグダッドで取材を続けたジャーナリスト・綿井健陽による本『リトルバーズ―戦火のバグダッドから』を読み、その後でドキュメンタリー映画『Little Birds -イラク 戦火の家族たち-』を観ました。

空爆で子どもを亡くしたお父さんの悲しみと「米軍を倒す」とまで言い切ってしまう怒り、クラスター爆弾の破片で片目を負傷した女の子、突然米軍に捕まった息子を刑務所の前で待ち続けるお母さん、そして「戦争の日常」を生きる普通の人々の姿・・・

実は、本を読んだのも映画を観たのも7月中のことだったのですが、まだ思い出すと胸が痛みます。

戦争が起きる複雑な事情を考えれば、「戦争反対」と叫ぶだけでは何も変わらないのはわかっています。でも、この映画や本で描かれているイラクの人々が苦しむ姿を目の当たりにすれば、少なくとも戦争を「仕方なかった」と肯定することはできません。

そう考えると、戦争中の報道規制がどれだけ恐ろしいものかと思います。ベトナム戦争ではジャーナリストたちが戦場に赴いて戦場における非人道的性や米軍の苦戦を報道したことで、反戦運動が国民に広がったのだそうですが。イラク戦争では米軍・米政府側からの報道がほとんどだったようです。

イラクでも自分たちと同じ普通の人々が日常を送っていて、それなのにその日常が戦争中も戦後も危険と切り離れず苦しんでいます。

たとえば、映画で一番わたしの印象に残ったのは、アリ・サクバンさん(空爆で子どもを亡くしたお父さん)の生き残った娘さんのゴフランちゃんが学校で無邪気に笑って、クラスメートと喧嘩したり、隣の子の鞄を間違えて持ってきてしまったり、妹たちのお墓参りをしたりしているシーンなのです。彼女の隣で、お父さんのサクバンさんは、亡くなった子どもたちがどうしてゴフランちゃんと一緒に遊んでいないのかと悲しみ、家の前に表れた米軍の戦車に怒りをあらわにしています。

・・・イラクの人々のこのような「戦争の日常」を日本の報道が伝えていれば、日本人の意識はおのずと変わり、戦争の結末も違ったのではないかと思えてなりません。

そういえば、『プラトーン』を観たせいか、逆に米軍の兵士たちひとりひとりが戦場で何を目にし、どんな苦しみを感じたかも知りたいなと思いました。映画には綿井さんが米兵に向かって質問を投げかけるシーンもあるのですが、綿井さんの質問の仕方がかなり攻撃的というか・・・だったので、あれで米兵たちの考えが引き出せているとはちょっと考えにくく。