今日は成人式で5時起きなんですが、どうしても今書いておかないと忘れそうなのでブログ書いちゃいます。(現在成人の日当日の、午前1時…)
振袖<書きたい衝動、ということで。ひどいな(笑)
去年の12月の話なんですが、SCIという科学情報サイトを作っているゼミの企画で、安田雪さんというネットワーク分析の研究者の方に取材に行ってきたんです。
SCIのサイトに載せるためにその取材記事を昨日書いてたんですね。取材記事を書くのは初めての経験です。採用されるのかドキドキです(笑)
今書いておきたいのは、取材のときに考えたことを、ちらほら。
<人間関係の構造分析って、何に使えるの?>
ネットワーク分析の研究で最近もっともキャッチーなのは、mixiのデータから人間関係の構造を可視化するという試みだと思います。
つまり、あることはわかっていたんだけれど見えてはこない人間関係というものの構造を分析してしまうのです。
なんで人間関係を分析する必要があるのか、わたしはすぐには把握できなかったんですが。実は、ネットワークを研究するって、とても応用度の高い研究なんだそうです。
たとえば交際関係であれば、性病(「彼氏の元カノの元カレを知っていますか?」っていうACの広告、ありましたよね)やSARS、鳥インフルエンザなどの普及と伝播について使えます。
また、知人・友人関係がわかって、更に「あなたは車の話、政治の話だったら誰とします?」というところまで絞り込めれば、口コミがどう広がっていくかわかるわけです。そしたらもうマス広告をうつ必要はなくなって、コマーシャルにしても政治のキャンペーンにしても、効率的な資源動員が可能になってしまうのだそうです。
マス広告を打つ必要がなくなるというところで思い出すのは、googleのアドワーズ(検索結果ページに検索語と関連の深い広告を掲載)、アドセンス(ウェブサイトの内容を解析し関連の深い広告をそのサイトに掲載)、またamazonの「こちらもどうぞ:同じテーマの商品」。
ウェブ上での行動から個人の嗜好を分析して、それに合致した広告を自動的に掲載する――といった試みです。
未来の広告は、「自分の嗜好」だけでなく、「自分の口コミネットワーク」まで考えた上で個別的に出されるものになるのかもしれません。
……というキラキラした研究なので、お話してくださる安田さんの表情や声もキラキラしているんですよ。
「地図なしで航海するのと地図を持って航海するのとぜんぜん違うから、おぼろげな地図でもいいからわかればいいよね。
でも、20年やっていてもいまだにわからない。やめられない。
きっと死ぬまでやり続けるんだろうね。」
という言葉は印象的でした。
人のつながりについての地図…… 自分と自分の知り合いについての地図は書けても、大勢の人のつながりについての地図は、たとえば親企業と関連企業との関係図みたいに簡単には書けませんよね。
<文理協働>
取材しているときに強く感じたのは、「文理の協働」です。今流行の。
理系の人が分析して、文系の社会学者がその分析結果を解析する……という協働が、このダイナミックな研究には必要になってくるようです。
<倫理の重要性 ~レントゲンどころか原爆並みの危険な研究~>
もうひとつわたしが関心を持ったのは、倫理の話です。
人間関係・コミュニケーションの実態を分析する怖さ、すなわちネットワーク研究における倫理の重要性を安田さんは繰り返しおっしゃっていました。
大学のゼミで人間関係を分析したら、必ずそのゼミのコミュニケーションは崩壊してしまうんだそうです。自分はその人のことを好きだと思っていたのに実は嫌いだと思われていた、とか、彼氏の元カノはどういう人だった、とか、わかっちゃったらうまくいかなくなるの当たり前ですよね…。
人間関係の分析は「レントゲンの被曝のようなもの。レントゲンどころか原爆」と言われたそうです。
原爆って、科学技術の暴走の象徴ですよね。
IBMのパンチカードさえジェノサイドのツールになったことを思い出します。
たとえば医療倫理とも違って、一見ひとを物理的に傷つけることもないし命に関わることのない研究でも、危険があり、倫理が必要とされているのです。
分析できるからといって分析してはいけないという領域、研究できるからといって研究してはいけないという領域が必ずあるんだと思います。それこそ原爆の開発みたいに。
でも、応用性の高い研究を敬遠するばかりでは、もったいない。
ただ闇雲にやったり抵抗したりするのではなく・・・どうすることが必要とされているんでしょう?
研究の倫理ってどう生まれていくものなのでしょうか。
今は研究者のなかで決まっているものなのでしょうけれど、、、それだけじゃ足りない、としたら、どうすればいいんでしょう。
SCIのサイトは、そのひとつの足がかりなのかもしれません。普通の人が科学の最先端の研究について知って、意見交換のできる場所になっているわけですから。
記事アップされたらぜひご覧ください☆ 取材に行った何人かで分担して書いていますので。