白む空を溶かした睡眠薬で
喉を潤して
何も知らぬ月夜に蘇るのは
あの髪の薫り
夢の中で 少女は まだ長い髪のまま
出会った頃のあなたのように
どこまでが現実で
どこまでが夢想でしかなくて
少女は白いドレスを翻し 踊る
黒い髪が融けあい
今や少女は少女に体を重ね
曇った窓と
風さえなしに カーテンは揺れる
夢の中で 少女は 笑顔をなくしたまま
有明月は彼方で潤む
どこまでが現実で
どこまでが夢想でしかなくて
少女は白いドレスを翻し 踊る
どこまでが真実か
とうに知る術などなくしてた
それでも
今もこの眼に残るあの夜は
わたしを抱きすくめて
朱く朱く
染まりゆく
あなたの
やさしすぎる腕とともに
――ざっくりと。