アニメ化もされた有名ライトノベル『ソードアート・オンライン』の第1巻のみのネタバレありレビューです。
VRに興味を持ってアニメ第一期を途中まで観ましたが、面白さがあまり感じられなかったため、原作ラノベならどうだろうと読み始めました。
アニメのほうだと普通の剣と魔法の出てくるファンタジー作品(FFなど)と世界観があまり変わらないように見えて、VRMMOを舞台にする必要性が正直ピンとこなかったんです。
しかし、原作である本作品はキリトの心理描写が非常に丁寧で、現代(正確には近未来ですが)日本の人々がVRMMOの世界に囚われ戦いを強いられる、という設定が生きていると感じました。
つまり、もともと戦いのない平和な世界で生きていた人々が突然に命がけの戦いを強いられたら、何を思うのか。
初めは驚き戸惑うものの、そのうちに慣れてしまう、それでも心のどこかに迷いが残る――といった心理が、キリトの独白によって詳らかにされているのです。
生き残るために友を見捨てたことへの後悔。
戦う理由を見出せないまま剣を振るい続ける自分への自嘲。「己を強化し、他人より優れた力を得る快感のためだけに戦っているのなら、俺も本心ではこの世界の終わりを望んではいない――?」(第16章 p.235)
結局、キリトとアスナはお互いとの出会い、ふたりで共に生き続けることに戦いの意味や目的を見つけます。
19章の最後で交わされるアスナとニシダの会話が印象的ですね。
ありがちと言えばありがちな展開なので、思春期に読んでいたら拒絶反応を起こしたかもしれません(笑)
でも、大人になって人生の伴侶を見つけた今では、素直に受け入れることができて良かったです。人生こういうものだよなぁ、って(笑)
※本記事はブクログに書いた自分のレビューから転載したものです。