軍艦島とは、長崎港から南西に約18kmの沖合いに位置する、明治から昭和の時代にかけて栄えた小さな海底炭鉱の島です。
労働者たちが、日本の他の地域に先駆けて、近代的なアパートで近代的な暮らしをしていたことで有名です。
2015年、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産の一つとして世界文化遺産に登録されました。
この島は、1974年の閉山後、無人島となっています。
そこで、アニメや漫画や小説などによく出てくる「廃墟」のイメージをより深く知りたくてツアーを予約したのですが……
意外にも、近代日本を支えた労働者の方々のご苦労をしのぶ旅になりました。
軍艦島の上陸には事前にツアーの予約が必要なのですが、天候などの条件で上陸できない日も多いようです。
わたしたちの予約していた9月14日は、当日は晴れて風もなかったのです。
ですが、9月前半に台風に備えて軍艦島の転落防止柵を撤去しており、次の台風が来るまで復旧しないと決められていたため、あえなく上陸中止となりました。
そこで代わりに周遊クルーズに参加することになりました。
雑誌『るるぶ長崎 '23』によると、4つの会社が上陸・周遊クルーズを運航しています。
わたしたちが選んだ会社「高島海上交通」の「軍艦島上陸クルーズ」*1の特徴は、高島という島にも上陸することです。
高島も炭鉱の島でしたが、今も人が住んでいます。
高島では、軍艦島の模型を見ながら説明を受けたほか、石炭資料館が見学できました。
この石炭資料館がいろいろ勉強になったんですね!
1日12時間労働の2交代制。
気温30度、湿度95%という悪条件。
採掘の機械化が困難なほどの傾斜(60度超!)だから人力で掘る、などなど……。
近代日本を支えた炭鉱労働のご苦労がしのばれました。
高島を出発して今度は軍艦島周遊へ。
船は軍艦島をぐるっと回りましたが、"もっとも軍艦島が軍艦らしく見える方向"から撮ったポケモンGOAR写真がこちらです。
朽ちゆく鋼の島、生きゆく鋼の鳥
The abandoned island of steel and an energetic bird of steel
炭鉱で過酷な労働に従事した方々に思いを馳せて。
Thinking of those who worked hard in the coal mines.
📍: 軍艦島(端島)・長崎県 Gunkanjima Island Nagasaki, Japan
Sep. 14 2022
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なお、こちら側には船着き場がないので、軍艦島(正式名称を「端島」と言います)の島民の方々は、こちらの軍艦島らしく見える向きの端島を見ることは基本的になかったのだとか。
それもあってか、島民の方々は島のことを軍艦島ではなく「端島」と一貫してお呼びになっていたそうです。
軍艦島の話で印象的だったことのひとつは、学校の屋上庭園の話です。
軍艦島は岩礁を埋め立ててできた島なので、土がないのです!
そこで、子どもたちへの教育として土と触れ合わせようということで、本土から土を運んでアパートに屋上庭園を作ったのだそうです。
この屋上庭園はまだ残っていて、屋上に木が茂っているのが見えました。
土のない土地で生活する……。『ワンピース』の空島で土(ヴァース)が貴重なものとされていたのを思い出しました。
なんだか、本当にすごい生活だったんですよね、端島での暮らしは。
この方々が過酷な労働と豊か(電気冷蔵庫、電気洗濯機、白黒テレビの「三種の神器」が100%普及したのは軍艦島が国内で最速!)ながらも制限(真水が貴重で、お風呂は海水を沸かしたもの!)のある暮らしに耐えてくださったおかげで、今の日本があるのだなと思うと、厳粛な気持ちになりました。
軍艦島・高島について深く勉強できるこのクルーズを選んでよかったと思います。
いつか上陸もしてみたいものです。
*1:【公式】軍艦島上陸クルーズ https://www.gunkanjima-cruise.jp/