ローゼンメイデン ロートシュヴァルツ (JUMP j BOOKS)
https://www.amazon.co.jp/dp/4087033120/
発売は2014年ですが、昨年(2016年)『ローゼンメイデン0-ゼロ-』の連載開始をきっかけに『ツヴィリンゲ』と併せて購入、読了しました。
真紅と水銀燈が主役のスピンオフ小説です。アニメではなく原作準拠。イラストは表紙とカラーの口絵のみ。
19世紀のイギリスを舞台に、真紅と過去のマスターとの触れ合いと水銀燈との一悶着が描かれます。
『ツヴィリンゲ』のほうは物語に起承転結がなくて面白さを感じされず、酷評してしまいましたが、こちらは最後まで楽しく読めました!
また、真紅と水銀燈の過去が明かされ、真紅が『たんてい犬くんくん』のファンなのはなぜなのかといった謎がわかるので、真紅と水銀燈のキャラクターを掘り下げることができてますます二人が好きになること間違いなしです。
あとは、水銀燈と金糸雀の公式スピンオフが欲しいんですけど…… あのふたりの奇妙な仲の良さをもっと味わいたいです!!
***以下ネタバレあり***
ページをめくり始め最初、登場人物紹介のところに「アリス」「ドードー」とあったのを見て「まさか!?」と思ったら、そのまさかでした。
勘の良い方なら、19世紀イギリスが舞台という紹介文だけで気付いてしまわれるんでしょうか。
真紅がアリス・リデルをマスターにして、チャールズ・ドッドソンと交流していたというのが正史だとすると、考察をされている方は頭を悩ますことでしょう。
至高の少女の名前、アリス。
箱庭での水銀燈と真紅の会話、「何でもない日を祝いましょう 何でもない日おめでとうって! そうすれば毎日祝えるわ」「それは物語の話でしょ? いかれ帽子屋のセリフだわ」*1。
"お父様"が『不思議の国のアリス』を意識してローゼンメイデンたちを作ったのは明らかだと思っていたのですが、これでは時系列が……。"お父様"とは何者なのでしょうか。ローゼンメイデンたちが地上に降り立ったのはいつなのでしょうか。
箱庭は時空を超越していて存在していたのかもしれませんね。
最後に小ネタの話をひとつ。
n=1、真紅が初めてドードーさんと会ったときにアリスが読んでいた『ボスコム谷の惨劇』。
シャーロック・ホームズシリーズの中では特に有名な作品というわけでもないのに、なぜ作者はわざわざこれを名指しにしたんだろうと不思議に思っていましたが、最後まで読んでわかりました。結末が一緒だったんですね!
*1 TALE57 箱庭の楽園 『ローゼンメイデン』原作コミック第10巻より