yuletide@blog

Pokémon GOのAR写真とか。アニメの感想とか。たまに難しいことも。不思議ちゃんの新婚生活13年目@東京をまったり記録。

あわいよる

夜は無作為に美しいものだと思います。

今日は真っ暗になるまで図書館で勉強していましたが、

図書館を出たときに、まず雨音ではっとしました。

眼前に広がっていたはずの草原は闇に溶けるばかり。

そして、目を上げたときに、降りそぼる雨の向こう側に、淡い夜空を見ました。

曇った夜空は常夜灯の光をたたえます。淡い、あわい、灰とむらさきの色。

アイビーがその幹を覆った木々も、光に照らされて深緑に萌えている。

強がったりはしません。暗がりは怖いものです。

だから、人は暗闇に明かりをおいていきました。

絶対的な不安をもたらす暗闇になんとか打ち勝つための、街灯たち。

それらは決して美しさを意図されてなどいません。

曇り空も、蔦が絡みついたままの木々も、あの白いばかりの常夜灯も。

それらが、ふとした瞬間に組み合わさって、うすむらさきの夜空に、深緑の木々に、光がたたえられた夜。

それを美しいと言わずしてなんと言えましょうか?

神々しいとも言えるはずのこの景色は、本当はただの偶然なのですから。

ただ、ただ、それは美しいばかりで。

人間が大自然に抵抗して生きているのだという、わずかな証なのかもしれない。

もがいているばかりの人間がようやく手にした光源は、不意に美しさを焼きつかせて、きっと消えていく。

無作為だから、誰も目に留めず、何も残らない、そんな美しさを。

小道に堕ちきって忘れられた桜の花弁のように。