ローゼンメイデン ツヴィリンゲ (JUMP j BOOKS)
https://www.amazon.co.jp/dp/4087032957/
発売は2013年ですが、昨年(2016年)『ローゼンメイデン0-ゼロ-』の連載開始をきっかけに購入、読了しました。
翠星石と蒼星石が主役のスピンオフ小説です。アニメではなく原作準拠。イラストは表紙とカラーの口絵のみ。
過去の回想を交えながら、翠星石と蒼星石が結菱老人のもとで目覚めてから袂を分かつまでにあったエピソードを描いています。
原作序盤、翠星石と蒼星石が登場してから蒼星石がローザミスティカを失うまでの物語は、二人のキャラクターや関係性が掘り下げられないままあっという間に終わってしまった印象があります。
本作品『ツヴィリンゲ』には、この原作で描写不足だった部分を補完する追加エピソードが詰まっており、双子ファンには嬉しい作品です。
* * *
ただ、物語として面白かったかというと、正直微妙です。
二人が決別するという結末(しかもバッドエンド)が分かり切っているので、せめて過去話のほうではカタルシスを感じさせてほしかったんですが……。
二人が困難を乗り越えるために闘って、一筋の光明が見えて、それでも最後はダメだった、みたいな盛り上がりポイントもないので、後味の悪さが残ります。
また、小説ならではの繊細な心理描写や舞台設定の細かい説明も見つけられませんでした。
最も残念だったのは、いろんなエピソードが紹介される割に、肝心のところが深く掘り下げられていない点です。
二人が別れた理由が、蒼星石が翠星石とも戦えると言うほどに薔薇乙女としての戦いや結菱老人の救済にこだわったためである、ということは語られます。
しかし、なぜ蒼星石がそこまで強い想いを抱くに至ったのかは、触れられていないんです。
蒼星石が翠星石に感じていた違和感。翠星石の"強さ"の源。結菱老人の孤独や苦悩。
『ローゼンメイデン0-ゼロ-』では今のところ翠星石と蒼星石が主役のようなので、今後に期待したいです。
※ブクログ(http://booklog.jp/users/yulinyuletide/archives/1/4087032957)からの転載です。