「少年ジャンプ+」で連載中の『ファイアパンチ』の最新話について感想を書きます。
『ファイアパンチ』は連載開始時に「完璧な1話」として話題になった漫画です。
1話と最新話のみウェブで無料で読めますが、
展開の読めなさが本作品の大きな魅力のひとつなので、未読のかたはネタバレの閲覧は厳禁です!!!
このブログ記事も、いま掲載中の最新話も、絶対に絶対に見てはいけません。
1話を読んで興味がわいたら、単行本を調達して順番に続きを読むようにください。
* * * 以下ネタバレ注意! * * *
今週の『ファイアパンチ』最新話(41話)、ほろっときました。
まさかファイアパンチに泣かされる日が来るとは思ってませんでしたよ。
この漫画の展開の読めなさは本当に凄いです。
リアルタイムで連載を読み続けていて本当に良かったです。どこにもネタバレが落ちていない状態で読めますからね。
完璧すぎる1話、
エログロ頻発でぐだぐだ感あふれる2話以降、
――からの、変人トガタ登場。
ファッ!?ってなりましたよね、ほんと。漫画の世界観が一気に変わりました。
そして、まさかそのトガタに泣かされる日が来るとは。
40話でさんざん、キミにはわかんねえだろうな!!という叫びが繰り返された後で、
41話に入ると、まるで子どもみたいな口喧嘩(ここのコマ割りが大好き)。
そして、
「俺にもし姉がいたら……トガタだろうなって思うからだ…!」
(トガタ「は~あ?」)
「トガタの話は全部聞いた事がなくて…刺激的で…!
一緒に話している時だけは痛みを忘れられるんだ!
妹と話している時もっ…! この糞みたいな世界の事を忘れられた!
だから姉かなって……!」
というアグニの告白。
これが、
「キミさっき…これからもっと面白い事やるって言ったよね
それが凄い面白い事だったら戻っていいよ」
と、トガタの譲歩につながる。
人と人とはわかり合えない。
でも、その人と一緒にいると面白いなら、それだけで一緒にいる理由になる。
そんなことを感じ取ったら、なんだか涙腺がうるんでいたのです。
* * *
40話・41話は、“泣けた”一方で、ズーンと頭に衝撃を受けた回でもありました。
それは、40話の
「でも一ミリくらいは[私が] 男だって思ったでしょ」 *1
「その一ミリが……私はっ キミが言う目の前で大切な人が死ぬって事と同じくらい嫌なんだよ…」
のところでした。
性同一性障害という障害があることはもちろん知っています。
性同一性障害のかたがたに対して差別意識は持たないように、そしてどんな配慮が必要か考えるように努めてもきました。
でも、心のどこかで、
「そうは言っても、脳みその性と体の性が違うことってそんなに重要なの?」
って軽く見ていたんです。わたしは。
性同一性障害を悩んで自殺する人がいるというのもピンときていなかった。
現状では、いじめられたり、トイレの使用とかで社会生活上の不便があったりするから問題になっているけど、そういうことが解消されていけば別に障害でもなんでもないんじゃないか、なんて。
トガタの「目の前で大切な人が死ぬって事と同じくらい嫌」という言葉。
トガタが「姉でいいよ……」とつぶやいたあとに見せた壮絶な表情(41話。トガタの顔って、今まであんなふうに描かれたことありましたっけ?)。
これらは、わたしの頭をガツンと殴るようにして、自分の無知に気づかせてくれました。
性同一性障害のかたの悩みについて、理解しようとしているつもりでいて、全然ちっとも全くわかっていなかったんだ、と。
そして、性同一性障害にせよなんにせよ、ひとの悩みをわかったつもりになることは暴力なんだということを、強烈に意識させられたのでした。
* * *
ということで、40話・41話には随分としんみりさせられましたが、
藤本タツキ先生のことですから、間違いなく次回はまた急展開になることでしょう。
来週の月曜日が楽しみです。
あと、41話ラストのアオリは草を生やすしかないですね。「新たなる希望――…」
コミックにアオリが載らないのが残念でなりませんwww
*1
[]内は筆者による補足。